ヨネデンでんき実験室
ヒーターレス電気蒸しパン器
昭和20年代の戦後の食糧難の時代に考え出された家電製品とは名ばかりの質素な手作りの器具でした。
メリケン粉とふくらし粉(重曹)と少々の砂糖を練って、この中に流し込んで電気を入れて待っていると、ふっくらした蒸しパン風のパンが出来ました。
家族で喜んで食べた味は今でもはつきり覚えています。
↓昭和20年頃の電気蒸しパン器
少年時代にタイムスリップして
当時に自作して重宝した蒸しパン器を再現してみました。
完成写真
◎ご注意

電気の知識の無いお方はまねをしないで下さい。
テスト結果ヘ

材料表
品名 サイズ(ミリ) 数量 金額 摘要
桧板 117×6×1000 1 380円 *
桧板 88×9×1000 2 840円 *
ステンレス板 225×300 1 420円 厚さ0.3ミリ
ゴム製脚 直径20ミリ 4 140円 *
ネジ、釘類 * 適宜 300円 錆びない物
コードその他 * 適宜 300円 耐熱コード
合計 * * 2380円 *

・・・作り方の説明・・・
分解写真

◆本体外箱
◆蓋部
◆電極板2枚
◆仕切り板2枚


【1】 外箱を作る

側板、88×9の板を長さ212ミリ2枚
側板、88×9の板を長さ100ミリ2枚
底板、117×6の板を長さ212ミリ1枚に切断して、木工ボンドを塗布して木ネジ止めで写真の形に仕上げます
底部にゴムの脚4個も忘れずネジ止めしておきます

●寸法は購入した板の幅に合わせ  て下さい 


【2】 電極板と仕切り板を作る

電極板、88×9の板を長さ194ミリ2枚
仕切板、88×9の板を長さ78ミリ2枚に
切断
ステンレス板を電極板と同じ大きさ(高さは5ミリ程小さくしておきます)に2枚切断して電極板に貼り付けます


【3】電極板、仕切板を外箱に装着

電極板と仕切板は取り外し洗えるようにしていますので固定しないで下さい

はめて見てサイズの調整は紙ヤスリなどで整えて下さい


【4】 電極板への通電の構造

蓋に取り付けられた接触片で通電します
蓋を外せば電気が切れます


【5】 蓋と接触片を作ります

蓋は117×6の板を212ミリに切断
(外箱寸法に合わせてください)

接触片はステンレス板を適当に切断してバネ状になるよう写真のようにステンレスビス、ナットできちっと接触するように取り付けします


【6】ターミナルボックスコード取付

9ミリ厚の板を適当に使いターミナル部を保護する囲いを作ります
6ミリ厚の板でターミナルボックスのフタを作っておきます

電源コードは必ず耐熱コードをしっかり取り付けしてください
中間スイッチも取り付けるとよいでしょう


【7】 蓋の完成です

忘れずに蒸気口をあけておきましょう


【8】ヒーターレス蒸しパン器の完成

60数年前の蒸しパン器が甦りました

さあ、これを使って蒸しパンを作ってみましょう


・・・テスト結果の発表・・・
テストはパン生地でなく市販のケーキミックスを使用しましたので、パンではなくスポンジケーキになってしまいました。
材料の説明通りに卵、牛乳、サラダ油など少々加えました。
この材料はもともと電子レンジで短時間に調理するように調整されていますので、この「ヒーターレス電気蒸しパン器」では、どのように出来あがるか若干心配はありましたが、結構うまく出来上がりました。すこしふっくらし過ぎた感はありますが・・・
試食して皆がおいしいと言ってくれました。
昔の蒸しパンの生地は、小麦粉にふくらし粉と砂糖を少しを入れただけの質素なものでなかなか、うまく膨らんでくれず、ふくらし粉を多くすると膨らみますが味の方が、苦くなりました。一度昔の生地で挑戦してみます。
ふっくらとおいしくスポンジケーキが出来ました。

テストに使用した市販のケーキミックスです。
左のものは卵だけを加えます。
右のものは卵、牛乳、サラダオイルを加えます。
今ご紹介のものはこちらの方です。

生地を別の容器で練っておきます。

分量は350グラムです。


外箱に電極板、仕切り板をセットして生地を流し込みます。


フタをしてコードをコンセントに差し込みます。

データを採るため測定器を接続しました。


1分刻みで電流値、加熱温度を測定し記録しました。

測定データ (素材分量350グラム 初期温度16℃)
経過時間(分) 電流値(A) 素材温度(℃) 摘要
0 0.80 16.0 初期電流値0.8Aで80Wこんなので出来るの?
1 1.00 17.0 1分で1℃上昇
2 1.10 18.0 *
3 1.20 20.0 *
4 1.35 25.0 *
5 1.50 29.0 5分経過で13℃上昇 電流値も1.5Aに
6 1.60 37.0 *
7 1.70 50.0 7分経過で24℃上昇 電流値も最高の1.7Aに
8 1.70 64.0 *
9 1.70 74.0 9分経過で1分10℃の温度上昇 電流値維持
10 1.60 84.0 10分経過で電流値が下がり始める
11 1.60 88.0 温度は順調に上昇
12 1.61 92.0 12分経過で90℃突破し電流値が上がり始める
13 1.62 95.0 *
14 1.65 97.0 14分経過で電流値ストップ
15 1.62 98.0 15分経過最高温度に達する 再び電流値下がり始める
16 1.58 98.0 *
17 1.50 98.0 *
18 1.48 98.0 *
19 1.40 98.0 *
20 1.30 98.0 20分経過最高温度維持 電流値どんどん下がる
21 1.15 98.0 この時点で出来あがっているが念のため測定
22 1.10 98.0 *
23 1.00 98.0 最初の電流値にもどる
24 0.95 98.0 *
* * * *

膨らみすぎてフタにくっついてしまいました。

こんなにふっくらとおいしく出来あがりました。

熱いうちに切ったのでうまく切れませんでした。


           -おもしろい発見-

最初素材の固有抵抗を測定して順方向で100オームありました。念のため逆方向で測ってみると40オームでした。おかしいと思いながらDCレンジで測るとなんと0.6ボルトの起電力を発生していました。
電極間を短絡してから測つてもやはり電圧が発生していました。
つまり蓄電池を形成していたのです、おもしろいですね。

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